<分子標的薬の使用>

日本に戻ってから、ひと通りの再検査を行ないました。

そして、その後の治療方法について主治医と相談しました。

主治医の所見は次のようなものでした。

「他の部位への転移はないようだ。」

「腫瘍マーカーの値は少しではあるがまた上がっている(CEA=42.5)。」

「白金製剤と他の抗がん剤を組み合わせた化学療法では恐らく今後効果が期待できない。」

「進行性の非小細胞肺がんを対象とした分子標的薬で新しいものがある。」

「最近認可されたもので臨床結果に基づいた話しかできない。」

「その臨床事例の中で低い確率ではあるが、急性の間質性肺炎を起こし死に至ったケースがある。」

「他の副作用については、これまでの抗がん剤よりきついと思われる。」

「しかし他には効きそうな抗がん剤がない。」

「主治医としては試してみる価値があると思う。」

私はこれを受けて、この分子標的薬についていろいろと調べてみました。

ひどい副作用を伴う薬であることがわかりました。

知れば知るほど嫌な薬という感じでした。

一旦は子供のように「絶対いやだ」と駄々をこねました。

しかし、他に効く薬がないということもあり、覚悟を決めてこの分子標的薬の治療を受けることにしました。

万が一の間質性肺炎発症時の緊急対応のため、入院しての治療となりました。

始めて間もなく、それまでの抗ガン剤にはなかった吐き気とだるさが起こりました。

何よりも閉口したのは手足と顔・頭皮をはじめとする皮膚のかゆみと肌荒れから来る痛みでした。

痛みが日に日に激しくなり、ろくに眠れなくなりました。

それでも、「それは薬が効いている証拠」という医師や看護師たちの励ましを頼りに、何とか我慢しました。

そして分子標的薬の抗がん剤を始めてちょうど3週間後でした。

走ってきた主治医から「レントゲンを見る限り腫瘍が劇的に小さくなったようだ」と言われました。

これには、きつい副作用を耐えてきた甲斐があったと、嬉しくて思わず涙が出てきました。

しかしその数日後、血液検査の結果が出ました。

腫瘍マーカーCEAの値は103.2と跳ね上がってしまったのでした。

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